だれかにとって『身近な存在』つまり、心地よい関係でいるために必要な要素に、相手との『適切な距離感』があります。前回に引き続き、今回も適切な距離感についてシェアしたいと思います。

これは前回も書きましたが、人との距離感には物理的な距離と感情的な距離があります。前回はパーソナルスペースという考え方をもとに、物理的な距離感について考えました。

参考記事：ことばでもっとつながろう：適切な距離感とは？#1

今回は感情的な距離に焦点をおいてお伝えします。

だれかと一緒にいるときに、『あれ、なんだか距離を感じるな…』と思ったことがありますか？

それはどんなところで感じたのでしょうか？

もちろん、前回取り上げたような物理的に距離があると、気持ちの距離を露骨に感じるでしょう。あるいは態度がなんとなくよそよそしい場合もそう感じると思います。そして、それ以外にあげるなら、言葉遣いかもしれません。

言葉遣いと距離感

日本語では上下関係によって話すときの単語や表現が変化します。つまり敬語です。ただ、日本の敬語はちょっと複雑です。なぜなら、日本語の敬語は年齢や立場によって固定されるものではないからです。たとえ年齢や立場が離れていたとしても、相手との関係が親しいものになれば敬語を使わなくて良い場合もあるからです。例えば恋人関係であれば仮に相手が年上であってもタメ口で話すのではないでしょうか？逆にいつもタメ口の相手が急に敬語で話してきたらどうでしょうか？例えばこんな感じで…

夫「ただいま」

妻「お帰りなさい」「ちょっとこちらに座っていただけますか？」

確実に修羅場に突入する流れですよね。夫は妻の使う敬語によって空気が悪くなっていることだけでなく、相手が距離を置いてきている、つまり不機嫌であることを否が応でも感じます。これが敬語の不思議な力です。

言葉の距離は気持ちの距離

このように、言葉遣いによって相手との距離を測ることができます。

相手との距離を縮めたい場合にも同じことが言えます。言葉遣いが気軽なものになっていけば自然と相手との距離も縮まっていきます。もちろん、急に言葉遣いをラフなものにすると、馴れ馴れしい人だと思われてしまうかもしれませんので、きちんと関係が成り立ってからにした方がいいですよね。

言葉には人と人を近づけてつなぐ力があると思います。みなさんにも「ことば」との素敵な出会いがありますように。